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新しい命  「女王の更新」

2013年6月17日

ミツバチは、1匹の女王蜂と数万匹の働き蜂と1割の雄蜂で一つの群を形成している。
女王蜂が一日約2000の卵を産み、働き蜂が生育にともなった分業制で群が維持され、雄蜂は生殖のため存在意義をかろうじて保つ026.gif
女王蜂は卵を産み続けるため、3~4年は生きる。働き蜂は、約1ヶ月の命である。
女王蜂が1日約2000も卵を産み続けるのは、群を支える働き蜂がたった1ヶ月しか生きられないからだ。1ヶ月しか生きられない働き蜂を次から次に産み続けないと、群の力は保てない。だから女王蜂は必死にお産の作業を毎日毎日頑張り続けるのである
そして、働き蜂はそれにこたえるように短い人生の間、忠実に自分の仕事を全うする。
孵化して間もなく1週間は女王蜂のお世話係をし、次に巣箱内のお掃除係り、少し経験を積んだら入り口の門番。そして人生の集大成は大空に飛び立ち蜜を集めて来る。
このミツバチという生き物、本当に知れば知るほど奥が深く健気で性質が美しい。

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集まって何をしているのかな?

そのミツバチの群であるが、女王蜂が卵を産み続けることで初めて維持し続けられるわけで、女王蜂の果たす役割は極めて大きい。女王のDNAによってすべてが決まるといっても良い。
とても多産系であったり、子供の1匹1匹は強いけれど、少子化系だったり、女王の性質によって群の勢いや性質が多彩に変化する。
働き蜂と違って、寿命は長く3~4年は生き、卵を産み続ける。
毎日、毎日、2000個!005.gif
女王蜂はタフで力強い。
しかし、人と同じで衰えや、限界というものは必ずやって来る025.gif
最初、ばりばり2000以上の卵を産み続けていた若い女王も、年を重ねると、卵を産む数がだんだん減ってゆく。
産む数が減ったり、産む数にバラツキが出て来ると、その女王の群は勢力が弱まってゆく。
そして、お世話する我々人間がそれを肌で感じたとき、女王の「更新」というものを行わないといけなくなる。
「女王の更新」
それは、長年頑張ってくれた女王を引退させ、新しい女王を誕生させるのである。
女王は一つの巣箱に1匹しかいられないので引退した女王は残念ながら命尽きる。
女王の「更新」は新しい命を吹き込む神聖で活力あふれた儀式であるとともに、「別れ」を意味する悲しい儀式でもある007.gif
生命を紡いで行くということは、続いたものが終わる「悲しみ」と新たなものが生まれる「喜び」とのリサイクルでできている。
女王の更新は丘ばち隊にとって生きるということを感じる大きな作業の一つ。
気温が上がり植物が全盛を迎える今、ミツバチの群も勢いが一番ある時期。
この時期に通常更新は行われる。
それは生命が満ち溢れるこの時期に行い、新女王が誕生する確率を上げるためである。

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ただいま元気に活動中

3群ある丘ばち群の中のクラウディア。
この子は昨年初めから病気を抱え、生き残るのが精いっぱいの群であった。
蜜はほとんど採れるような状態ではなく、とても冬は越せないと思っていた。
でも、性質がとてもよく、人懐っこくおとなしく優しい、どことなく見限るには忍びない子だった。
丘ばち隊はなんとか冬を越させてあげようと願った。そして頑張った。
その甲斐あって昨年の冬、越冬できた。
しかし、越冬して春を迎えてもやはり群の勢いは出てこない。このままいけば今年の冬にはどんなに頑張っても冬は越せないであろう002.gif

「クラウディアは更新だ」

5月の終わり、丘ばち隊長は意を決してクラウディア女王を更新することに決めた。
今年新しく仕入れたとびきり元気な子サラの卵を借り、クラウディアの働き蜂に女王の誕生を促し、2代目クラウディアを生み出す。サラのDNAとクラウディアのDNAの融合。
大きなプロジェクトに取りかかった。

女王蜂の更新は非常に難しい。
女王が毎日産み続ける卵のうち、働き蜂たちが少し卵をうみつけたお部屋の形を変えたもの(王碗・おうわん)を見つけ、それを一番生育に適している巣の真ん中に持ってくる。
そして、元気のない女王を幽閉する。
王碗に入った卵は、生後1週間以内の働き蜂たちがローヤルゼリーを与え続け新女王となる。ローヤルゼリーをもらえないものは普通の働き蜂にしかならない。働き蜂たちが、新しい女王を作らなきゃ!って気持ちを高め、ローヤルゼリーをどんどん出してもらえる環境を作る。そして初めて女王は誕生する。強い女王、現役バリバリの女王がいるところには新女王は育たない。

新女王誕生計画から問題がなければ約2週間で新女王は誕生する。
問題がなければ・・・・015.gif
そう、この2週間でよくトラブルが発生する。
順調に行っていた卵が突然ダメになるとか、反対に1つでいいのに2つも3つも女王になりそうな卵が出て来るとか・・・・。
今のところクラウディア群は順調。
5月の末に計画が始まったのでもう間もなくクラウディア2世は出きると思う。
この計画の途中、幽閉した初代クラウディアは死んでしまった
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がんばってくれてありがとう、クラウディア

もう後には引けない。
丘ばち隊は、命のサイクル「女王の更新」ミッションは痛みと悲しみを乗り越えて遂行中である。

by jiyugaoka-bee | 2013-06-17 10:31 | 女王さま

養蜂活動の記録


by jiyugaoka-bee