人気ブログランキング | 話題のタグを見る

花粉団子は元気のしるし

2016年12月12日

こんにちは、隊長です001.gif
寒くなりましたね~。最低気温が5度を切るとさすがに身も心も凍えます。
北海道は飛行機が飛ばないくらいの大雪。
完全に冬がやってきましたね。
これからは寒さとの闘い013.gif
ハッチが全群冬を越せるよう、丘ばち隊は頑張ります!066.gif


さて、今日は、ハッチの用語に関するお話をしようと思います。
その名も「花粉団子」。

そもそも、隊長のようにハッチに関して変態になっていない人は、ハッチが生きていくために食べているものはハチミツだけと思っている方が多いですよね。
ミツバチって生き物は、黄色と黒の縞々の生き物でハチミツを集めて、食べて、生きていると045.gif

まあ、ある意味正解なのですが、ミツバチの生態はもう少し複雑であります。
ミツバチが集めてくるものの中には、ハチミツのほかにプロポリスと花粉があります。

プロポリスは、木の樹液で、ハッチのおうち(巣)に隙間ができた時や、巣内のちょっとふさぎたい部分や補強したい部分があるときに樹液を集めおなかの酵素とともに抽出して形成するものです。
抗菌作用が非常に高く、天然の抗生物質といわれています。古くはミイラを作るときに腐敗を防ぐ材料として用いられたり、現代では健康維持のサプリメントだったりアンチエージングの化粧品なんかに使われていますね001.gif

次に「花粉」。
これは、ハッチの生態に大きくかかわるものです。
ハッチの巣箱の中は、1匹の女王蜂と、数万匹の働き蜂(全部メス)と1割の雄蜂で形成されています。
女王は通常4年ぐらい生きるけれど、群内のお仕事をし、群自体のダイナモとなって動き続ける働き蜂は約1ヶ月弱しか生きられません。
この寿命格差をうめるには、女王が卵を産み続け、次々と働き蜂を更新させていかなければなりません。
女王の主な仕事は卵を産むこと。
花粉団子は元気のしるし_d0155439_13545627.jpg
女王蜂は命をつなぐため、ひたすら卵を産み続けます

それ以外の仕事は、名前の通り働き蜂がすべて担います006.gif
働き蜂は、生まれたてのころは女王のお世話がかかりをします(女王の餌となるロイヤルゼリーは生後間もない働き蜂しか出せないといわれています。)
女王の世話係が終わった子は、次に巣内のお掃除係をします。
巣内には毎日何匹かの寿命を迎えた死者が出ますからね、外に運び出さなければいけません。
それが終わると、次に働き蜂の飼育係。群の次世代を担うさなぎちゃんたちのお世話です。
ちゃんとお世話係りができるようになると、群を守る門番をまかされます。
門番は外敵や、違う群の子が入って来ないように巣の入口を守る命がけの大切な役割。
それが無事務まることができれば、やっと最後に外勤となって外の世界に蜜などを採りに行くことができます。働き蜂の人生の最後の最後にようやく外世界に飛び立つのです012.gif
このように、ハッチの巣箱の中ではいくつもの秩序と役割が延々と繰り返され、一つの群を守っていっているのです。
女王が卵を産み、働き蜂がいくつもの自分たちに与えられた役目を果たすことによって、各々がサイクルを回すことによって小さな世界の大きなサイクルができ上ってゆきます043.gif



「花粉」は、このサイクルの中で非常に大きな役割を担っています。
ハッチがハッチの次世代をつなぐための栄養。
働き蜂が外勤となって蜜とともに集めてくる大切な大切なもの。
集めてくる目的は、次に生まれてくるさなぎの餌。
外勤の働き蜂が外から団子状の形状にして「花粉」を持って帰ってき、次の働き蜂を育てる飼育係に渡す。そして飼育係は「花粉」をさなぎに与える。
よくできたシステムです。
システムというか、大家族の涙ぐましい連携というか。
隊長はいつもこのミツバチの分業やサイクルに感動させられます005.gif

とかく、ミツバチはハチミツを集めることだけがお仕事のように思われていますが、生きていくためにもっと多岐に、色々なことをしています。

おうちを補修するためにプロポリスを集めたり、次世代を育てるために花粉団子を集めたり。
もちろん、蜜はこれらの中で、自分たちが食べていくために絶対必要でありますから、プライオリティは一番高いのですが、樹液も花粉もハッチにとっては大事なもの045.gif

ハッチを外から眺めていて、その群がうまく行っているかどうかの目安として、花粉団子を持ち帰っている子が出入りしているかがあります。
花粉団子は次世代を育てるために必要なものだから、これを持ち帰っているということは次に命をつなごうという意思があるのと、まだその余力が残っているという証明。

瀕死の群は、自分たちが食べる蜜を集めるが精一杯で、次世代までかまってられません。
また、女王が子を産まなくなると、花粉が必要なくなりますから、必然的に花粉団子を見なくなる。そうすると、その群は全滅へ向かってのカウントダウンを始めたことになります007.gif

先日、丘ばち全群が越冬態勢に入りました。
1群、とっても弱っていたサラ群もなんとか越冬態勢を整えることができました。
この子はもしかして・・・・と、ちょっと弱気になるくらい状態が良くなかったのですが、全群揃って春を迎えるという希望に向かって、藁を入れたり保温剤を施したりやるだけのことをやりました。

花粉団子は元気のしるし_d0155439_1350523.jpg
完全防備で越冬体制に入りました

そして、お天気のいい今日、ハッチ基地に副隊長が餌をあげにいったところ、越冬巣箱に出入りする、うれしいものを見つけました
そうです。
「花粉団子」を抱えたハッチです043.gif

花粉団子は元気のしるし_d0155439_13423489.jpg


花粉団子は元気のしるし_d0155439_13425481.jpg
花粉団子をつけたサラ群の働き蜂・・・あきらめないで、がんばれ!!

かなり弱っているサラですが、花粉団子のハッチが出入りしているところを発見しました。「花粉団子」を抱えた子が出入りしているということは、サラ群がまだしっかり生きようとしている証拠。
隊長も副隊長もとても嬉しい気持ちになりました。

「サラは、何度も奇跡を起こした子だからね。きっとやってくれるよ!」003.gif

花粉団子は元気のしるし。

黄色く輝く丸玉を一生懸命運ぶハッチたち。
隊長も副隊長も、花粉団子をつけたハッチを見ると心の底から元気をもらいます012.gif

by jiyugaoka-bee | 2016-12-12 13:55 | 越冬

養蜂活動の記録


by jiyugaoka-bee