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繋がれていく命

2011年1月16日

寒くなってくると、ハッチのおうちの周りには、死んでしまったハッチ達をたくさん見かけることになります。

きれい好きのハッチたちはおうちの中で死んでしまった子たちを外へ運び出します。冬の声が聞こえ、段々ハッチたちの新陳代謝が少なくなっていくと、雄蜂や暖かい時期に一生懸命働いて寿命が尽きてしまったハッチなどでとても多くなります007.gif

その亡骸を片づけ、ハッチのおうち周りをきれいにする事も、丘ばち隊のお仕事です。
無数のコロンと転がった愛しいハッチたちを片付けながら、その姿を眺めていると、命ある限り働いて尽きたその健気な生涯を思って、ふと切なくなってしまいます002.gif


ある日のこと、丘ばち隊が冬仕度を兼ねてハッチのおうち周りをお掃除していると、1匹のハッチの亡骸に目がとまりました。
そのハッチは大きな花粉団子を両足につけた状態で亡くなっていました。
花粉団子とは、花粉をお団子状にしたハッチの赤ちゃんが食べるご飯の事です。

それを作るにはたくさんの花々を飛び回り、自分の産毛にからみつけなければなりません。
そして、お団子を作ったあと、これを運んでくるのもなかなかの至難なワザ。
人間に換算してみると、花粉団子はハッチにとって、大きな大きな重~いスイカを両脇に抱え、
「おっとっと、おっとっと~」
という感じでうま~くバランスをとり、運んでいるようなものなのです。

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こんなに立派なお団子をつけて帰ってきたのに・・・

そんなたくさんの大変な思いをして赤ちゃんのためにせっかくご飯を運んできたのに、残念なことにあと少しでおうちだよ、というところで力尽きてしまったようです。
丘ばち隊はかわいそうでかわいそうで、そして、その一生懸命さが愛しくなりました。
そして、ある事を思い出しました。

あれは、シーズン最後の内検の日でした。
もう寒さも本番に入ろうとしていたのに、自分の力でサナギの殻を破り、誕生してきた逞しい赤ちゃんハッチがいたことを思い出しました。
そうです。このハッチが花粉団子を運んできたという事は、おうちの中に新しい命が、この寒くなってきたこの時期にも芽生えている証なのです。
みんな死に絶えるだけでなく、まだ新しい命が繋がれている。
そして、一生懸命その命を育てようとするお姉さんハッチがいます。

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ハッチ誕生の瞬間です

丘ばち隊は来春へとつながれている貴重な命の希望を見たような気がしました。
大きな大きな花粉団子をつけて帰って来て命尽きたハッチを見るのは辛いけど、それは新しい命を繋ぐためのハッチの必死の努力。こんな健気な努力を積み重ね、厳しい寒さの中でも、生きよう、命をつなげようとするハッチたちの思いを強く感じる瞬間でした。

がんばれ! ハッチ!!

丘ばち隊も見守ってる。応援してるよ001.gif

by jiyugaoka-bee | 2012-01-16 17:02

養蜂活動の記録


by jiyugaoka-bee